縁をみつける

【東京都西東京市】園児が逆立ちで歩く幼稚園!?田無と園児を愛する小林園長

学校法人いづみ学園 田無いづみ幼稚園

 

園庭から田無タワーを見上げる小林園長


園長 小林正和

1980年3月28日、田無生。法政大学を卒業後、学校法人彰栄学園彰栄保育福祉専門学校で幼稚園教諭の資格を取得。大学から専門学生時代はバンド活動にいそしむ毎日。ギターボーカルを務め、今も園長室の机のわきにはギターがおかれている。現在は西東京市消防団や田無神社の氏子青年部など様々な団体に所属し、地域とのつながりを深めている。3歳ごろまでは全くしゃべらない子どもだったそう。その反動か、今は自他ともに認めるおしゃべり好き。座右の銘は「人は人によって磨かれる」

 

 

-目次-

何をやってもいいのが幼稚園だ!
背もたれのない椅子
レインボーマットの架け橋
つま先が見える靴箱
園児をフルネームで呼ぶ終礼
先生も誕生日
IDUってなんですか?
園長先生になったワケ
園児に押された大人の背中
田無が…好きです。

 

 

何をやってもいいのが幼稚園だ!

幼稚園には、小学校のような教科科目指導要領があるわけではない。
「何をやってもいいのが幼稚園だ」と語る小林園長。
しかしそれは、「なんでも自由にやっていいよ」と、放置することとは違うと添える。

園児たちの個性を受け入れ、
「ありのままでいてほしい」と伝えているようなこの言葉は、
「何もできない子」を育ててしまう呪いの言葉にもなり得る。

例えば先生が話をしていても、「自由」に遊び回る園児たち。
お友達のおもちゃを取り上げて、「自由」に楽しむ園児たち。

小林園長は、
「放置することで、(園児を)何もできない子にするのは無責任だと思う」
という。

普段園児たちが遊ぶ園庭の芝生。小林先生のこだわりでもある

田無いづみ幼稚園を卒園して小学生になったとき、
「先生の話も聞けず、集団生活にもついていけないのはプレ教育の役割を果たさない
と考える。

そういったことを学ぶ環境を作ることこそ、
「なんでも自由にできる幼稚園」の役割なのだと
自園の教育の信念を話す。

 


背もたれのない椅子

田無いづみ幼稚園の椅子には“背もたれ”がない
大人の膝にも満たない高さの
小さな椅子にさえ、体を支える板はついていなかった。

園児が普段使っている椅子。背もたれはない

「これはね、一つずつ背もたれを切っているんですよ」
と、説明する小林園長。

座位を保つ姿勢で、腰骨を立てて背筋を伸ばす
「立腰(りつよう)」を習慣づけるためだという。

立腰の効果は、正しい姿勢を保つというだけにとどまらず、
心と体のつながりを感じ、集中力を高めることにもつながるという。

教室に掲示されているポスター。立腰の効果を説明している

国民教育の師父とも称された哲学者かつ教育者である森信三先生は
「人は“心身相即”の生き物だから、心を立てようと思ったら、まず体を立てなければならない」と、説いた。

その言葉の通り、小林園長が視察した魅力的な園では、
立腰を取り入れていることが多かったという。

立腰の習慣は、心を整えることにつながる。
挨拶や礼儀、人の話を聞くことなど
「すべての基本になるもの」と小林園長は語る。

 


レインボーマットの架け橋

園児たちには卒園までに達成したい目標がある。
全長3.5メートルの虹色のマット、通称「レインボーマット」を渡りきること

壁に立てかけられたレインボーマット

男の子は逆立ち歩き
女の子は側転やスタンドブリッジを組み合わせた技「スペシャルトリプル」で、
レインボーマットのゴールを目指す。

園児たちが運動をするためのホールの壁際には、
無数のレインボーマットが立てかけられ
そのいくつかからは、ほつれた糸が出ていた。
夢中になって練習に励む園児たちの姿がうかがえる。

入り口の上には、A4のコピー用紙に1文字ずつ印刷された
「絶」「対」「で」「き」「る」の文字が並ぶ。

入口の上に掲げられた「絶対できる」の文字

小林園長をはじめ園児と関わる全ての先生が、
子どもたちの成長を信じている…いや、信じ切っている

年長児にもなると、技を完成させている子もいる。
一人の男の子が、レインボーマットのスタート地点に立った。
ひょいっと軽く足をあげ、
小さな手が、力強く体を支えている。

逆立ち歩きを披露する年長の男の子と笑顔で見守る小林園長

その姿を見守る年中児たちは、
口を開けて見入ったり、手をたたいて応援したりと
憧れを全身からにじませていた。

技を見て憧れる年中児たち

男の子がマットを渡り切った時、
一番の笑顔を見せていたのは園のリーダーである小林園長だった

その笑顔もまた、子どもたちの成長を促す
キーポイントなのかもしれない。

 


つま先が見える靴箱

園庭につながる扉のわきに、園児たちの靴をしまう靴箱がある。
少しかがんで、小さな上履きが並ぶ靴箱をのぞくと
きれいに揃えられた“つま先”と目が合った

つま先を前に向けて、上履きが揃えられている

小林園長によると、田無いづみ幼稚園では
靴をしまう時にもひと手間かけることで、
「よそ様におしりをむけないように」と教えているという。

入園したての園児たちには
そのひと手間が難しく、なかなか揃えられない。

そんな時にきらりと輝く、先生の魔法の言葉。
「100点のおくつはどれかな~?」

子どもたちは、靴をそろえることを
ゲームだと思い、楽しみながら覚えていく

「あの子の靴が100点なら、私も100点を取りたい」と、
競うように真似をする

「集団生活というのは、良いことも、悪いことも、すぐに伝染してしまう。そういうものです。だから、良いことが伝染するような環境を整えてあげればいい」

そう語る小林園長のご子息は1歳の時から
1人で靴を履けたという。

コツは「我を忘れて夢中で楽しめる」環境を設定すること。

田無いづみ幼稚園からは、今日も園児たちの笑い声が響いている。

 


園児をフルネームで呼ぶ終礼

園長先生、副園長先生、担任の先生が集まる終礼の時間。
息のそろった号令をかけた後、
担任の先生たちから、その日の園児の様子が報告される。

お休みをした子、
けがをした子、
気分が悪くなってしまった子の
詳細な様子を報告する先生たちの言葉に耳を傾けていると、
園児の名前を必ずフルネームで呼んでいる

担任の先生だけでなく、
他の先生たちも、話題に上がった子どもの名前をフルネームで呼ぶ。

共有する話題はそれだけではない。
保護者の来園時に雑談を通して知った、ご家族のうれしい出来事

副園長の小林千香先生は
「声をかけてあげられるといいですね」と、呼びかける。

お迎えの時間になると、
「園長先生!」と手を振る園児たちの横に
笑顔あふれるお母さん、お父さんの姿があった。

 

小林園長は、幼稚園と保護者の関係性を
“車の両輪”と表した。

「真ん中に子どもがいて、右のタイヤが幼稚園左が保護者。どちらかが先に進んでしまってもいけない。同じ速さ、同じ方向に向かって進まないと

 


先生も誕生日

「●●組の(名前)です!(日にち)で、6歳になります!」

お友達や先生、保護者が見守る中、
女の子の園児は、背筋をピッと伸ばして大きな声で発表した。
マイクを通して園舎に響く声は、
幼い子ども特有の、息継ぎが多い高めの声。

パラパラと拍手の音がやむころ、
次の発表者がみんなの前に立つ。

「●●組の(名前)です!(日にち)で一つ大きくなりました!」

マイクを通るのは落ち着きのある大人の声
同じ月に誕生日を迎える
先生からの発表だった。

「うちは、先生も一緒に祝うんですよ。プレゼントでいえば、先生のほうが豪華なくらい」と笑う小林園長。

歳を重ねるにつれ、「うれしくない」と苦笑いしがちな誕生日を、
自分が生まれた特別な日だと思い出させてくれる
園児たちのまなざしと拍手の温かさが感じられる。

園児が帰った後、廊下を掃除する先生

「先生も一緒」なのは誕生日のお祝いだけではない。
元気いっぱいの挨拶や姿勢も、園児と同じようにしている。
園児が帰った後、静かなはずの廊下には
先生たちの「お疲れ様です!」という声が響いている

先生として園児たちを見守りながら、
園児の手本となり、良い環境を率先して作っていく。
そんな先生たちの姿は、
田無いづみ幼稚園の魅力の一つである

 


IDU(アイディーユー)ってなんですか?

小林園長は問う。
子育ては何のためにするのか…と。

それは、「子どもの自立のためだ」という。

では、「自立」とは何か
田無いづみ幼稚園流の自立とは「自分で考えて、行動することだ」と小林園長。

そして、田無いづみ幼稚園の教育とは
子どもを強制的に自立させることではなく、
自立に導くことと説明する。

つまり、「能動的な自立を促す教育」がここにはあるということだ。

幼児であっても、大人の顔を伺い行動できない子どもたちがいる。
お母さんやお父さん、おばあちゃんやおじいちゃんの愛に
助けを求め、待ってしまう子どもたちだ。

小林園長は「待っているだけでなく、自分で選択することが重要」と話していた。

“IDU”とは、そんな田無いづみ幼稚園の教育を
アルファベット3文字に凝縮した、なんとも秀逸な言葉だ。

idumi nursery school【保育園】の内観

その秘密について特別に教えよう。
教育を表す“education”の語源となる“educe”の意味をご存じだろうか?

答.「能力を引き出す」

田無いづみ幼稚園の教育では
学びを強制せず、
能力を引き出すことを重視している。

自ら学ぶ、能力を引き出す…

自ら学ぶためにeduceする…

I(自ら)の学ぶためにe“du”ceする!

これが、“IDU”の由来である。

 


園長先生になったワケ

小林園長は“園長先生”という仕事は
「未来創造業だ」という。

「園児が感じること、考えること全てが未来を創っていく。世界1素晴らしい仕事だ」と語る。

園長室で仕事をする小林園長

祖父の代から続く家業だった幼稚園経営。
祖父から引き継いで園長となった母の姿を見ていた小学生ごろから、
「自分もいつか園長先生になるのだろう」と感じていた。

「母は園長の仕事を楽しそうだと感じさせることに長けていた」
と、小林園長は振り返る。
幼稚園から帰ってきた母から、仕事の愚痴を聞いたことはなかった

極めつけは「正和は好きなことをしなさい」という母の言葉。
ただし、少し間を置いた後
「…でもね、もしいつか一緒に幼稚園で働けたら、お母さんはすごく嬉しい!
と、続いたという。

当時を振り返る小林園長は「ずるいよー」と笑っていた。

大学を卒業した1年後、幼保の専門学校に通った。
実家の園に入るのか…
他の園で働くのか…
幼保業界とは全く別の世界を目指すのか…
迫る卒業と、急かされる人生の選択。

もしもの先を、繰り返し想像し自分の将来と向き合った。
選択の基準は「素直に『はい』といえるかどうか」

もしも、他の園で働いたら、
きっと心のどこかで「うちの園ではこうしているのに」と思ってしまう。

もしも、田無いづみ幼稚園で働いたならば、
きっと自分は素直に「はい」といえるだろう。

そう思った小林園長は
2005年4月から田無いづみ幼稚園の先生として、
働き始めることとなった。

「母親とはハキハキとした性格が似ている分、結局ぶつかることも多かったんですけどね」と笑う小林園長。

田無いづみ幼稚園が50周年を迎えた2013年、
小林先生は小林園長先生となった

それから12年たった今。
小林園長が少し園舎を歩いただけで
教室からひょっこり顔を出した園児から呼び止められたり、
廊下の向こうから、園児が駆け寄って来たり、
園庭で遊ぶ園児から「みてみてー」と声をかけられたりする。

園庭に設置されている大きな遊具「ツリーフォート」で遊ぶ園児たち

「今でも悩むことばかりですよ」という小林園長。

そんな時には、
できるだけ多くの人が笑顔になる選択
できるだけ、人に迷惑をかけない選択
を心がけているという。

園の魅力でもある先生たちについても、
「先生たちを守れるのは自分だけ」
という気持ちで
「寄り添って、目を見て話をきいて、受け止めていけたらいいと思う」
と、話していた。

 


園児に押された大人の背中

発表会の練習中、
園児たちが夢中になって練習に取り組む姿を見ていた小林園長は
自分の頬をつたう涙に気が付いた。

「なぜ私の目に映る子どもたちは、こんなに真剣になっているのだろう?
という問いが、ふと浮かぶ。

ダンスの練習に一生懸命取り組む子どもたち

しかし、その姿が心に訴えかけるもの
問いの答えだと知った。

小林園長は、自身の幼少期について
「自分が正しいと思うことを、正しいと言いたい」
というまっすぐな性格でありながら、

大人びた思考力をもち、少し俯瞰していたところがあったため、
「全力を出していなかったのかもしれない」
と、振り返る。

「園児たちの姿を見たときに、
私も何かに挑戦したいと思ったんです」

突き動かされた気持ちのままに、
2019年3月3日、初の東京マラソンに挑戦
いつかと夢見ていたフルマラソン。

沿道からは誰かもわからぬ人からの
温かな応援が絶え間なく聞こえていた。

その声に押されるように、一歩、また一歩と先へ進み、
見事完走した。

東京マラソンに参加した小林園長。声援を受けて歩を進めた

小林園長は「声援が力になることを実感した」と当時を振り返った。

数日後、完走したことを園児たちに告げた小林園長には
一つ心残りがあったという。

それは、「挑戦する前に、園児に報告しなかったこと」

失敗するか、成功するかわからない挑戦前、
それを人に言うことで「退路を断つということが大事だ」と話す。

穏やかに話す小林園長の心にともる、
熱く、けれど、どこか温かい挑戦心を感じた。

それをともしたのは
まぎれもなく、園児たちなのである

 


田無が…好きです。

田無いづみ幼稚園では小林園長の“好き”
いたるところから垣間見ることができる。

例えば…

エントランスには小林園長が小学生の頃から応援している
野球チーム「西武ライオンズ」や、サッカーチーム「FC東京」
のユニフォームが飾られている。

ユニフォームを愛でる小林園長

小林園長が着用しているTシャツ、持っている鞄、履いている靴
すべてがThe North Face製品
きっかけは先生たちからの贈り物なのだそう。

そんな田無いづみ幼稚園を訪れた学生には
次のように始まる園のパンフレットが配られる。

はじめに・・・
園長小林正和は、無類の“田無いづみ幼稚園好き”です。本誌は田無愛で溢れかえっています――もし「あなた」の“田無愛”が園長のそれに勝る!という場合は、どうぞお申し出ください。“田無愛”を共に語り合いましょう。(一部抜粋)

田無いづみ幼稚園が位置する西東京市は
2001年に田無市と保谷市が合併して発足した市だ。

この田無市で、小林園長は生まれ育った。
この田無が、小林園長が愛してやまない地なのである。

小林園長の“田無愛”はパンフレットの前付けだけにとどまらない

毎年10月ごろ西東京市田無の「田無神社」で開催される例大祭
神輿を担いで、田無の地を練り歩く
まさに、田無による、田無のための祭り

例大祭の様子

しかし、10月といえば、幼稚園の運動会シーズン…。

「でも、例大祭にはどうしても参加したい!」

熱い田無愛を持っているがゆえの葛藤。
その末、小林園長は
運動会を例年の日程からずらして実施、
神輿も担ぐという解決策にたどり着いた。

神輿を担ぐ小林園長

“好き”の勝利である。

無類の田無好きであろう小林園長だが、
子どものころは「あまり田無が好きではなかった」という。

その理由を聞くと、
「田無の市外局番は“0424”。東京03に憧れがあったんですよ。田無に対する反抗期みたいなものだったと思う」と笑う。

田無の魅力に気づいたのは
大学入学を機に一度、田無を離れ、
6年後に再び、田無での生活を始めたころだった。

昔の風景がそのまま残る、通称“田舎道”

緑色にライトアップされる田無タワー。翌日が曇りであることを伝えている

翌日の天気予報に合わせ、
紫や緑、青に色を変えて光る
田無タワー(正式名称 スカイタワー西東京)
そのどれもが特別なものだと知った。

園舎の屋上から田無タワーを眺める小林園長

園舎の屋上から見える、
青空の下の田無タワーを眺める小林園長は
「田無タワーはね、ほんとはね、昼間にはあんまり見ないほうがいい。ライトアップされる夜に、もう一度みましょう
と笑顔で誘う。

募集要項

園の概要

園名
学校法人いづみ学園 田無いづみ幼稚園
所在地
〒188-0014 
東京都西東京市芝久保町3-6-20
連絡先
042-461-8466
tanashiidumi@gmail.com
園公式ホームページ
https://www.tanashiidumi.ed.jp/

採用

採用担当
副園長 小林 千香(こばやし ちか)
リクルートページ
園公式のリクルートページはこちら↓
https://www.tanashiidumi.ed.jp/recruit/
掲載中のジョブメドレーの求人はこちら↓
https://job-medley.com/facility/329337/

施設概要

園名
学校法人いづみ学園 田無いづみ幼稚園
代表者名
(ふりがな)
園長 小林 正和
(こばやし まさかず)
住所
〒188-0014 
東京都西東京市芝久保町3-6-20
電話番号
042-461-8466
園の公式ホームページ
https://www.tanashiidumi.ed.jp/
園の公式リクルートページ
https://www.tanashiidumi.ed.jp/recruit/
お問い合わせ先:
学校法人いづみ学園 / 田無いづみ幼稚園
TEL : 042-461-8466