【宮城県大崎市】折り紙先生!マジック先生!いいえ、髙橋理事長です。子どもに教える人生の五つの指針×先生に伝える三つの“そう”
学校法人明星学園 白梅幼稚園
- 卒園児との交流
- 経営者としての考え方
- 【園・園長の特色】
- 楽しく仕事をする
- シルバー教室
- 品格を大切に
- 当たり前を極上に
- 宮城県大崎市
- 幼稚園

取材を受ける髙橋理事長
理事長 髙橋潤
1969年10月8日生。リフレッシュ方法は旅行という髙橋理事長。以前は海派だったが、最近はもっぱらの山派である。休日は同園園長であり、妻でもある順子先生とトレッキングに出かけることが多いという。登山とトレッキングの違いは、「道なき道」を行くか、「道ある道」を行くかの選択の違いだと語る髙橋理事長は、現在のところトレッキングを専門としている。
目次
子どもたちを導く五つの指針
髙橋理事長のキラキラネーム
信頼の第一歩は三つの“そう”
誰でも通園できる園
良い先生とは
一文字違いで大違い
子どもたちを導く五つの指針
白梅幼稚園の教育を通して、
子どもたちに知ってほしい
人生の指針が五つある。
一つ目に、
当たり前のことを極上に行う“至誠”。

白梅幼稚園の発表会で練習の成果を披露する園児たち
二つ目に、
学校で点数が付くようなものではなく、
持っているだけのものでもない、
実践として生かすことのできる“知性”。
例えば、商品の売り方に正解はない。
人は、何度もトライして、
売れる方法を導き出そうとする。
「どうすれば良いのか」と考え、
挑戦するために必要なものが
この“知性”である。
三つ目に、
食べ方、話し方、笑い方など、所作にでる“品格”。

白梅幼稚園を支える先生たち
「名を成してきた人には“品格”がある」と髙橋理事長。
どんなに秀逸な戦術を立てることができても、
どんなに革新的な思想を説くことができても、
品格がなければついてくる人はいないと語る。
四つ目に、
今流行りのアンガーマネジメントなどと表現される、
自分の気分を自身の力でコントロールできる“自律”。
五つ目に、
自分のことは自分でするという“自立”。
自立することは、
他の人に迷惑をかけないということ。
また、自分自身を幸せにする力も“自立”である。
「自分を幸せにすることができない人は、人を幸せにすることもできない」と、髙橋理事長は説明する。
これらの指針を提唱する髙橋理事長は
「幼児期に、これら全てをできるようにすることが、目的ではない」という。

発表会直後の達成感に満ちた子どもたちの様子
「何から何まで完璧にできる人はいない。いつか子どもたちが困ったときに、助けになるような考えの基礎となってほしい。その指針を知る場所が白梅幼稚園であればいいなと、思う」と語る。
髙橋理事長のキラキラネーム
髙橋理事長にはいくつかの異名がある。
どれも、園児たちが
髙橋理事長を慕って命名された“キラキラネーム”だ。
キラキラ輝く宝物のような思い出をまとっている
と、いう意味の
“キラキラネーム”である。
髙橋理事長はある時、
「園児たちの娯楽が、鬼ごっこだけではつまらないのではないか?」と考えたことがあった。
その結果登場したのが、
通称“折り紙先生(髙橋理事長)”
折り紙で恐竜の“パラサウロロフス”を
折ることができる。

髙橋先生が折り紙で作った作品。奥が”パラサウロロフス”
“パラサウロロフス”とは、
頭から背中の方向に
1本の角のようなものが生えている恐竜だ。
角のように見えるそれは
実は“とさか”であることが特徴である。

パラサウロロフスのイメージ(いらすとや)
折り紙先生の実績は
“パラサウロロフス”を折ることができる
というだけにとどまらない。
当時、「幼稚園が嫌い!」と言う園児がいた。
しかし、折り紙先生と一緒に
折り紙を折る時間だけは
積極的に参加するようになったという。
活動を重ねた末、その園児は
「折り紙の時間があるから、幼稚園に行きたい!」
と言ってくれたのだとか。
髙橋理事長は
「子どもの感覚には、何がヒットするか分からない。その子にとって楽しいと思える時間を幼稚園に作れたことが嬉しかった」と、当時を振り返る。
「あの時は、折り紙の資格を本気で取ろうかと考えていました」と無邪気な笑顔を見せる髙橋理事長。
次に命名されたキラキラネームは、
“マジック先生”だった。

マジックを披露する髙橋理事長。手に持っているハンカチが…
ハンカチを一瞬で消すマジック“だけ”
を披露する、大人気の先生。

あっという間に消えた!?
2025年度、新しい職員として採用された
白梅幼稚園の卒園児2人は、
マジック先生の時代を
園児として過ごしていた。
卒園児であり、先生となった2人は
「園児として通っていた白梅幼稚園が楽しかったから、ここで働きたいと思った」という。
髙橋理事長は
「折り紙もマジックもいろいろなことができる必要はない。たった一つでも、幼稚園を楽しい場所だと思う“きっかけ”ができればいい」と語る。
信頼の第一歩は三つの“そう”
「人は、何かしらのメリットを感じて利用するものを決めている」という髙橋理事長。
それは、白梅幼稚園にも適用される。
園選びの決定者である保護者は
白梅幼稚園に何かしらの
期待をしてくれているということだ。
「我々はその期待を正しく把握し、裏切らないようにしていく必要がある」(髙橋理事長)
保護者の期待に応えるため、
先生たちに呼びかけていることが
三つの“そう”。
ちゃんとして“そう”
余裕があり“そう”
幸せ“そう”
この三つだ。
これらは、信頼感を得るための第一歩である。
髙橋理事長は身近なものに
例えて説明することに長けている。
「例えば、あなたが海外旅行に行って、道に迷ってしまったら、どんな人に声をかけますか?」
まずは外見からちゃんとして“そう”な人を選ぶ。

研修を受ける白梅幼稚園の先生。後ろ姿だけでも感じる三つの“そう”
でもその人が、忙しそうにしていたり
ものすごいスピードで走っていたりしたら、
もっと余裕があり“そう”な人に頼もうと思うだろう。
ちゃんとして“そう”で、
余裕もあり“そう”だけど、
なぜか下ばかり見て歩いているような人には
道を聞こうとは思わない。
にこやかな、幸せ“そう”な人を見つけたとき、
きっとあなたも、「Excuse me…」と
話しかけるだろう。
三つの“そう”の大切さや、
信頼感の第一歩たる所以を
感じていただけただろうか?
誰でも通園できる園
白梅幼稚園には“シルバー教室”という、
園児の祖父母を対象にした
大人気イベントがある。
髙橋理事長が、卒園児の保護者との会話から
思いついた画期的なイベントだ。
その日のトークテーマは、
介護施設に入ることができるのは、
「介護を必要としている」と
認められた人だけなのか…
というもの。
高橋理事長はふと考える。
「介護施設に入っていない人ほど、解消できない『楽しみたい!』という意欲を持っているのではないだろうか」と。
そんな発想から生まれたのが“シルバー教室”だ。

懐メロに合わせてエクササイズをする園児の祖父母ら
イベントでは、
歌謡曲を流し、先生が考えた振り付けで踊る
「懐メロエクササイズ」や、
筆ペンを使ったアートを作る
「伝筆(つてふで)」の体験などを用意している。

伝筆の作品を見せ合う参加者
保護者は園児の様子を参観日で見ることができるが、
祖父母が来られるイベントは少ない。
参加者からは
「シルバー教室なら大手を振って、孫の様子を見に行ける!」と、
喜びの声が上がっている。
さらに、シルバー教室をきっかけに
ママ友ならぬ、
ばあば友、じいじ友ができているそう。
園児だけでも、
保護者だけでもなく、
園児の祖父母の“楽しい”“嬉しい”まで
生み出す場が
ここ、白梅幼稚園なのである。
そして、その“楽しい”“嬉しい”は
白梅幼稚園と関わることで園への“感謝”に昇華し、
園を応援したくなる“愛園心”を芽生えさせていくと、
髙橋理事長は話していた。
良い先生とは
「教育のスキルを学んだとしても、それだけでは良い先生にはならないんです」と話す髙橋理事長。
人間的にも成長することが重要といい、
成長のために必要なことは“素直さ”と説明する。
そんな髙橋理事長が20年以上前から
先生たちに伝えている、
仕事に向き合う理想の姿勢がある。
「楽しく、仕事をすることが1番かっこいい」

園児と遊ぶ先生。笑顔で溢れている
「それは、不平不満を言わないということにつながる」という。
例えば、上司や先輩が
「この園は待遇が良くない」などと、
愚痴をこぼしていたとする。
それを聞いていた後輩たちの
胸の内に沸き上がった
「それは違う!」という思いを伝えるには、
とてつもないエネルギーが必要だ。
伝えられない思いがあるということは、
人間関係や仕事の質にまで影響する。
では、白梅幼稚園にとっての
“良い先生”とは、いったいどんな先生なのか。
髙橋理事長は、二つの基準を教えてくれた。
園のために貢献しようと思えるか。
トップの考えを理解し、実践しているか。
髙橋理事長は、先生たちとの関係が
上手くいかなかった過去を振り返る。
「あの頃から、一番変わったのは自分自身の考え方だと思います」
当時の髙橋理事長は
先生たちに合わせようと思っていたところがあるという。
しかし、様々な壁を乗り越えた今、
「白梅幼稚園のシナリオは私が考える」と、
決意した。

園児と園庭で遊ぶ先生
園児も、
保護者も、
園児の祖父母も、
そして、白梅幼稚園で働く先生たちも
皆がそれぞれの“楽しい”“嬉しい”を感じている
白梅幼稚園のシナリオは
きっと“コメディ”なのだろう。
一文字違いで大違い
「趣味はなんですか?」
『乗馬です』
「おお!乗馬ですか!」
「趣味は何ですか?」
『競馬です』
「おお…競馬ですか…?」
髙橋理事長は、「経営者である限り、人に与える印象というものを考えなければならない」と語る髙橋理事長。
冒頭の“趣味”についての話。
文字に起こせば、たった一文字の違いだが、
その印象には大きな差がある。
そんな髙橋理事長も、
子どものころは人見知りで、
人と関わることも苦手だったという。
今の髙橋理事長からは、
全く想像がつかない様子だ。
人見知りを克服したのは
幼稚園の仕事をするようになってからだった。
理由は、「そんなことを言っていられなくなったから」だそう。
髙橋理事長の日常はこうだ。
フラッと立ち寄ったコンビニで、
「あ!先生!」と保護者から。
ジムに行くと、
「あ!先生!」と卒園児の保護者から。
ケンタッキーのドライブスルーで、
「あ!先生!」と、商品を渡すのは卒園生。
髙橋理事長は「そんな時に、『人付き合いは苦手だから』なんて言って、無視ができますか?」と冗談っぽく、笑っていう。

林間学校で子どもたちと遊ぶ髙橋理事長
「あ!先生!」という言葉と共に、
卒園児や保護者の顔に浮かぶ
笑顔を想像した。