【宮城県仙台市】どんな学びも土台が肝心!「誰を助けられるか?」考える心を育む。武浪副園長が語る、宮城明泉学園の想い
学校法人宮城明泉学園 明泉丸山幼稚園/明泉高森幼稚園
- 宮城県仙台市
- 動物との触れ合い
- ネイティブの先生による英語教育
- 卒園生とのつながり
- 幼稚園
- グローバル
- コミュニケーション

武浪忠副園長
副園長 総務部担当 武浪忠
1968年6月11日生。学校法人宮城明泉学園にいる3名の副園長のうちの1人。それぞれ、日本語部、英語部、総務部と役割が分かれているが、総務部の担当する範囲は圧倒的。乗馬が趣味で、園児を乗せた馬車の騎手を務めるほどの腕前。スポーツ全般、特に野球が好きという武浪副園長。最近は同年代のお友達が「身体が動かない」「面倒」などと言い始め、プレーはできていないようだが、ジムでのトレーニングはルーティーンとして、続けているという。幼児期の記憶は、外に出て走り回っていたこと。高確率でA型に間違えられるO型です。今回の取材には、個人としてではなく、宮城明泉学園の想いとしてお答えいただいた。
目次
道具の良さより、人の良さ
言葉は全ての知識のベース
山の上のちょっと大きなお家
専門家の先生たち
MeySen’s Core Value
一生のファミリー
道具の良さより、人の良さ
学校法人宮城明泉学園は、明泉丸山幼稚園と明泉高森幼稚園の2園を運営する法人。1967年、アメリカやカナダから移住してきた15名の宣教師たちが明泉幼稚園を創立したことが始まりである。
そんな宮城明泉学園では、ネイティブの職員から教わる生きた英語の教育や、良質な音楽と共に表現する歌、広大な園内にあふれる豊かな自然との触れ合いなど幼児期の教育として最高級のものが揃っているといえる。
しかし、武浪副園長は「どんな学びをしても、土台がしっかりしていないといけない」と、宮城明泉学園の教育の本質を語る。「英語は“道具”だと思っているんです。ただ、道具を持っているだけでなく、英語を使って『誰をどう助けられるか』、『社会にどう役立つことができるか』と考えられる人になってほしい」と続く。

遊具で遊ぶ園児
そのために宮城明泉学園で大切にしていることは、しっかりとした心をもって育つことを促す“心の教育”。園のモットーは“慈しみ”と“まこと”だ。
“慈しみ”とは、
自分のしてほしいことを、相手にしなさい、自分のしてほしくないことは、相手にもしないという、思いやりの心。
“まこと”とは、
嘘をつかない正義感の強さや誠実さのことである。
武浪副園長は、宮城明泉学園の心の教育の効果を次のように教えてくれた。

園庭で遊ぶ園児たち
心の教育をしたからといって、英語が流ちょうになるわけでも、早く走れるようになるわけでもないですが、「相手のためを考えられなければ、それらの道具を持っていても仕方ない」
最後に、「でも確かに、心の教育をすることで、授業への集中力は上がり、クラスコントロールもしやすくなるため、進捗はしやすくなるんですが」と優しく笑う。
言葉は全ての知識のベース
「生きた英語を学べば、海外の文化にも触れることができる」という武浪副園長。“生きた英語”は、宮城明泉学園を語るうえで外せない特徴的な教育の一つだ。
先生は園児に向けて「Hurry! Hurry! Hurry!」と、声をかける。その掛け声に何の違和感も持たず、少し小走りになる園児の姿が宮城明泉学園らしさを物語っている。
一方で武浪副園長は「日本の豊かな言葉を学ぶことも重要である」とも言う。それは、“言葉”が全ての“知識”のベースとなるからだ。幼児期にたくさんの言葉を読ませ、聞かせることで、表現やボキャブラリーに良い影響があると考え、実践している。
だから、宮城明泉学園の絵本では、年少用でも漢字が使われている。もちろんフリガナはない。教室にも、漢字、英語、ひらがな、カタカナ…。ホワイトボードにはその日の日付が、数字、漢字で示され、日付特有の読み方がひらがなで書いてあった。武浪副園長は「人が、動物と違うところは、言葉を使って通じ合えるというところ」と言い、“言葉”の大切さを教えてくれた。

漢字が使われている絵本
また、宮城明泉学園では卒園後の英語学習や海外研修をサポートする事業を行っている。
ここまで、英語教育に力を入れているからといって、必ずしも卒園児たちが、海外と関わる仕事をするというわけでもない。「(宮城明泉学園に入園させたかった)保護者の希望はあるかもしれないけれど、子どもって分からないじゃないですか?」と優しく微笑む武浪副園長。
幼児期には、子どもの興味の幅を広げ、「たくさんのスイッチをつけてあげることが大切」と語る。実際の卒園児の中には、園で動物と触れ合ったことをきっかけに、動物が好きになり、獣医の道に進んだ子や、慈しみの心を育み、介護士になった子もいるという。
武浪副園長は、「それぞれの未来につながる好きに出会うきっかけを、ここ(宮城明泉学園)で見つけることができたら」と話し、子どもたちの可能性を想像していた。
山の上のちょっと大きなお家

明泉丸山幼稚園の園舎
宮城明泉学園 明泉丸山幼稚園を視察した際、自分がいる場所が幼稚園であることが信じられなかった。広大な敷地、三角屋根が特徴的な洋風の建物、建物の裏の林の中には滝が落ち、川が流れ、鳥のさえずる声が聞こえる。かろうじて残る私の童心がくすぐられ、あっという間に膨れ上がりテーマパークに来たかのような高揚感を覚えた。
“規格外”
宮城明泉学園を表す、最もシンプルで最適な言葉だろうと、私は思う。
園むすびライター手記より
「子どもたちにとって、幼稚園は楽しい場所であり、楽しい思い出が詰まった場所であってほしい」と武浪副園長は語気を強める。宮城明泉学園が掲げるその想いは強く、学園の施設や環境には多くのこだわりが詰まっている。
園舎のコンセプトは「山の上のちょっと大きなお家」

明泉高森幼稚園の園舎
大きな建物は子どもたちに威圧感を与えてしまうと考え、屋根に傾斜をつける見せ方の工夫した。明泉丸山幼稚園の敷地は27,865㎡あり、その広さはサッカーコート約4面分。25mプールならおよそ90個分の広さである。その大部分は林になっているが、いたるところに園児が遊べる広場や大きな滑り台も設置されている。

明泉高森幼稚園にある滑り台
「子どもたちにはありったけの場所で遊んでほしい」と願う武浪副園長は、「だって、林の中を走り回るなんて、楽しいじゃないですか?」と無邪気な笑顔を見せた。
交通量の多い、幹線道路沿いには“丸山大滝”という立派な滝が流れている。車の音を聞こえなくするための工夫だと説明してくれた。林の中の道は整備され、自然を感じながら一休みすることができるベンチもあり、保護者や地域住民の憩いの場になっている。

丸山大滝
武浪副園長は、そんな幼稚園が保護者にとって、居心地のいい場所であってほしいと願う。それは「できるだけ長く、幼稚園にいてほしい」という想いがあるからだ。「だって、子育てってすごく大変じゃないですか?」という武浪副園長は、幼稚園を第2の家と思い、日頃の疲れを癒す場所として利用してほしいと考えている。
明泉丸山幼稚園のシンボル棟であるFriends Square内には、保護者も自由に購入することができるコーヒーメーカーが用意されており、その横にはふかふかのソファーがある。一度座ったら、立ち上がれないほどの座り心地で、朝の送迎からお昼ごろまで会話に花を咲かせる保護者もいるという。「ここ(宮城明泉学園)が、いいところである証だと思います」と、はにかみながら言う武浪副園長。

Friends Square内の憩いの場
ここでは、保護者と先生が会話を弾ませる姿もみられる。保護者と先生が日頃から話をすることで、子どもの生活や感情、育ちを共有することができ、トラブルがあったとしても、大きな問題になる前に解決することができる。
先生たちが一生懸命に子どもたちに向き合っている様子を実際に保護者が見ることで、幼稚園への安心感を持ってもらうこともできる。武浪副園長はこの様子を、こう表現した。「まさに、“教育の見える化”なんですよ」
専門家の先生たち
宮城明泉学園では、専門的な知識を持った職員が数多く存在する。
例えば、前項で紹介したこだわりのある園舎の設計には、建築の専門的知識を持った職員も携わっている。職員たちの想いを表現するためにアメリカ人の設計士と交渉をしたり、業者の提示した工費が相場に合っていなければ、園を守るために業者との仲介をしたりする。
創立当初、移住してきたばかりのメンバーが「業者ができないなら自力でやろう!」「業者に頼むと高額なら、自力でやろう!」と、宮城明泉学園を作り上げた精神が現在に至るまで、強く根付いている。

馬車に乗る園児たち
また、宮城明泉学園では様々な動物を飼育している。イベント時には、子どもを馬車に乗せて広場を回る催しなどもあるのだが、驚くべき点は、この馬の飼育だけでなく、“買い付け”、“調教”まで職員が行っているということ。
ちなみに、馬好きな武浪副園長は“買い付け”を担当しているそう。
子どもたちと触れ合う動物たちを飼育する職員には、「動物が好きだから」という想いだけでなく、「何かあった時に対処できるような、専門的な知識」を求めている。
そんな武浪副園長は東京都の大学で教育免許を取得し、宮城明泉学園で勤めることとなるが、採用から2年ほどで、園児と触れ合う先生人生に幕を下ろす。園を支える裏方業務にスカウトされ移ったり、園と関わりのある東京の企業に営業職としてスカウトされたり、今度は中国で仕事をしたり……。

取材を受ける武浪副園長
「いつ明泉にもどってくるの?」という上司からの一声で、2001年に学園の仕事に戻り、現在の副園長職を勤めている。
バラエティ豊かな職歴と、武浪副園長のバイタリティ故に、「先生は何学部なんですか?」と聞かれることが多い。「『教育学部ですよ!』と言っても、全然信じてくれないんですよ。始めは、幼稚園の先生ですからね」という武浪副園長の表情からは、先生らしい温かい笑みがこぼれていた。
MeySen’s Core Value
- 誠実(正直)
- 勤勉
- 謙虚(すなお)
- 思いやり(慈悲、慈しみ)
- 奉仕(仕えること、利他精神)
宮城明泉学園のコア・バリューとして以上の5つが設定されている。これらは、採用や職員の評価に使用され、園の指針となっているのだ。

園児と先生が遊ぶ様子
武浪副園長は、「基準が曖昧だと、その時々で指導が変わってしまうし、言われる側も分からないんですよ」という。コア・バリューはいわば、先生たちが目指す、明確な目標である。理想の姿を意識してもらうためにも研修や日頃の生活の中でも、伝えている。
「先生以前に社会人として、人としてと、よく話しています。どんなに教え方が上手でも、土台がしっかりしていないといけないのは、園児たちと一緒です」(武浪副園長)
一生のファミリー
「卒園して終わりというわけではない。明泉学園の卒園児たちは、一生のファミリーです!」こう語る武浪副園長からは親心のようなものが垣間見える。
その想いの通り、宮城明泉学園では年に一度、世代を超えて卒園児が集まる“同窓会”が開かれている。

同窓会で集まった卒園児たち
ファミリーである卒園児の思い出のゲームは同じ。受けてきた教育も同じ。卒園児同士、なつかしさを共有し、交流を経て、共感が生まれる。ファミリーは今後も増え続けていく。
それだけではない。卒園児の中には、就職活動などのタイミングで悩んだとき相談しに来てくれる子もいるという。
開かれた宮城明泉学園の環境と、卒園児たちの心に刻まれた楽しかったという思い出に引き寄せられ、特別な理由がなくても帰ってこられること。これが、ファミリーたる所以だと感じた。
2026年には60周年を迎える宮城明泉学園。武浪副園長は「時代が流れて変わっていくこともあるが、“変わってはいけないこと”が必ずある」と、胸のうちで燃える強い信念を語っていた。